ヘルダーの不等式・ミンコフスキーの不等式・リアプノフの不等式


ヘルダーの不等式

$E[|X|^r] \le \infty, \ E[|Y|^q] \le \infty$で、$1 \le r \le \infty, \ 1/r + 1/q = 1$ならば、
$E[|XY|] \leq (E[|X|^r])^{1/r}(E[|Y|^q])^{1/q}$

証明

$E[|X|^r] = E[|Y|^q] = 0$ならば、P(X=Y=0)=1より両辺0となり明らかに成立。
そこで、$E[|X|^r] \ge 0, E[|Y|^q] \ge 0$とすると
\displaystyle
V = \frac{|X|}{(E[|X|^r])^{1/r}}, \ W = \frac{|Y|}{(E[|Y|^q])^{1/q}}
とおく。ここで、対数関数は凹なので、$x,y,a,b\ge0, \ a+b=1$に対して
$\log (ax+by) \geq a\log x + b\log y$
つまり、$ax+by \geq x^ay^b$を利用する。
ここに$x=V^r, y = W^q, a=1/r, b=1/q$を代入し期待値をとると
$E [V W] \leq \frac{1}{r} E [ V^r ]+\frac{1}{q} E [ W^q ]=1$

説明

$r=q=2$のとき、コーシー=シュワルツの不等式となる。
$(E[|X|^p])^{1/p} \equiv ||X||_{L^p}$の$L^p$ノルムと言われ、$||X||_{L^p} \le \infty$ならXはp次可積分といわれる。
この証明は応用があるのだろうか。ちょっとテクニカルな気がする。


ミンコフスキーの不等式

$E[|X|^r] \le \infty, \ E[|Y|^q] \le \infty$で、$1 \le r \le \infty$ならば、
$(E[|X+Y|^r])^{1/r} \leq (E[|X|^r])^{1/r} + (E[|Y|^r])^{1/r}$

証明

テクニカルで応用がない気がするので、とりあえず省略

説明

$r=1$のときは単なる三角不等式である。p次可積分な確率変数全体を$L^p(\Omega)$とかき、$X,Y \in L^p(\Omega)$に対して$d_p(X,Y) = ||X-Y||_{L^p}$とおくと、$d_p$は$L^p(\Omega)$上の距離となり、非負性や対称性を満たす。このとき、ミンコフスキーの不等式は三角不等式を与える。

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三角不等式


リアプノフの不等式

$0 \le s \le r \le \infty$で$E[Y]^r \le \infty$ならば、
$(E[|X|^s])^{1/s} \leq (E[|Y|^r])^{1/r}$

証明

同じくとりあえず略。